亡くなったご両親やそれ以前からのものが引き出しなどにたくさん入っていました。
「どれが大事でどれが大事じゃないのか教えてほしくて...」
ひとつ一つの価値がどうかは、住職として助言できますが、
でもそれは私の価値観でしかありません。
それよりもそのものが伝えてくれる「意味」を知ることが大切だと思います。
新品のまっさらなお経本とぼろぼろに使い古されたお経本がありました。
どちらが価値があるかというと、古本屋さんだったら新品の方ですよね。
しかし、意味というと考え方が少し違います。
ご両親がぼろぼろになるまで持ち歩かれ、使い親しんだお経本は、
ご両親がこの世を歩み抜いた足跡と同じです。
人の人生に価値づけすることはできませんが、
その人が生きた「意味」が必ずあるのだと思います。
「仏は私たちに価値を与えるのではない。意味を与えるのだ」
以前聞かせていただいた言葉です。
意味のない人生なんてない。
「おらっちゃ、こっちの新しいお経本を、親のようにぼろぼろになるまで使ってみるちゃ」
「古い方はお寺さん預かってくだはれ。もう十分伝わったから」
有るものの価値だけにとらわれず、その意味を汲み取って、
前を向いて歩き始められる姿にうれしくなりました。
今日も前を向いて歩こう!